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初期の発見

初期の発見

スローン・ディジタル・スカイサーベイ(SDSS)は1998年6月8日に最初の観測 を行いました。それ以来、SDSSグループの科学者は、データを解析し結論を 導くために一生懸命働いています。このページでは、これまでSDSSによって なされた7つのもっとも重要な発見を紹介します。SDSSのデータからはこれから もっともっと多くの発見がなされるでしょう。

このSDSSの画像の中心にあ る色の付いた点々が小惑星です。

小惑星

小惑星とは、太陽の周りを公転する岩石や金属でできた小さな天体です。 大部分の小惑星は、太陽から約3億kmから6億kmの距離、火星と木星の 軌道の間に存在しています。小惑星は公転速度もそれなりに速く、地球に 近いこともあって、SDSSのカメラが空のある天域を観測する5分間に その動きを検出することができる。非常に高速で動く小惑星は、SDSSの画像では 色のついた線条として見えます。速度が遅いものは、隣接した2つか3つの 色のついた点として見えます。あなたは「研究課題」の 小惑星 で、自分の目で小惑星を見ることができます。

2001年に、プリンストン大学のジェリコ・イベチックを中心とする SDSSの科学者チームは、SDSSデータから10,000個以上の小惑星を検出しました。 彼らは小惑星の明るさからその大きさを、また色からその組成を調べ、 二つの重要な結論を導き出しました。

第一は、小惑星帯にある小惑星の総数はおそらく約500,000個であるということ です。この数は以前に考えられていた数のわずか25%でしかありません。 第二は、小惑星帯は、岩石質の小惑星からなる内帯と氷質の小惑星からなる 外帯の二つの帯からなるという従来の推測を確認したことです。 彼らは、色を調べるだけで小惑星をこの二つの帯に分類できることを 示しました。これは他の方法よりも格段に速くできるものです。 今後もSDSSは小惑星研究の貴重なデータ源であり続けるでしょう。 最終的には100,000個の小惑星が検出されるだろうとSDSSチームは 見積もっています。

褐色矮星

褐色矮星は、惑星と呼ぶには大きすぎ、恒星と呼ぶには小さすぎる天体で、 惑星と恒星の間のミッシング・リンクです。ここ40年間、科学者はそのよ うな天体があるに違いないことは知っていました。しかし、それらは核融合 反応による光を出さないのでとても暗く、観測することは非常に難しい のです。

褐色矮星には二つのタイプがあります。L型は木星の質量の50-80倍であり、 T型は20-50倍です。T型はL型よりも低温でありまた明るさも暗いものです。 1998年にSDSSが始まるまでには、10年間の探査によって数個のL型とただ一つの T型が見つかっていたに過ぎませんでした。

しかし1999年に、SDSSグループの天文学者、プリンストン大学の シャオフイ・ファンとマイケル・シュトラウスは、SDSS画像の中に 赤い色をした一つの暗い点を発見しました。その天体のスペクトルを観測した ところ、メタンの吸収線が見つかったのです。それはT型褐色矮星の 明確な兆候でした。その二週間後、ジョンス・ホプキンス大学の ズラタン・ツベタノフとウェイ・ゼンはSDSSの画像からもう一つの T型褐色矮星を発見しました。天文学者は現在この二つの天体を詳しく 調べています。褐色矮星が存在することは確認されましたが、 その性質については今日でもまだほとんど知られていないのです。

白い線の間に挟まれているのが SDSSの科学者によって発見された二つのT型褐色矮星。これまでに見つかった 二番目と三番目のものです。

銀河系のハロー

我々の銀河系を含むすべての銀河は、球状の希薄な星の「ハロー」に 取り囲まれています。天文学者はこのハローの起源について二つの理論を 考えています。一つは、ハローが先にでき、その中で銀河がさらに凝縮して できたとするものです。もう一つは、銀河よりハローが後にできると 考えます。小さな塊(星の集団)が多数衝突合体して銀河が作られる過程で、 次第にハローもできあがってゆくと考えるのです。

SDSSが観測した銀河系のハ ローの一部分
全体の画像を見るには ここをクリック

SDSSの天文学者はこの二つの理論のどちらが正しいか決めようとしています。 レンセレー科学技術研究所のハイディ・ニューバーグ とフェルミ加速器研究所のブライアン・ヤニーを中心とする研究チームは 銀河系のハローの広い部分を注意深く調べました。彼らは、ハローの中で 星の密度が異常に高い部分を5ヶ所見つけたのです。

彼らはそれらの領域にある星のH-R図を作成しました。H-R図とは、様々なスペ クトル型の星がどのように輝くかを示すグラフです(あなたは「研究課題」の H-R 図 で、自分でH-R図を作ってみることができます。) 彼らが作ったH-R図は、銀河系の周りを回っている「いて座矮小銀河」と呼 ばれる小さな銀河の星のH-R図に似ていました。この発見は、銀河系のハロー にある5ヶ所の密度の高い部分は、銀河系の重力によっていて座矮小銀河から 引き出された星からなっていることを示唆しています。つまり、小さな銀河が 衝突合体して大きな銀河になる過程で、長い時間をかけてハローが形成される という考えを支持する証拠が見つかったのです。

暗黒物質

最近の約25年間、天文学者は見えているものが宇宙にある物質のすべて ではないことを知っています。1970年代半ばに、ワシントン・カーネギー 研究所の天文学者ベラ・ルービンは渦巻銀河の回転を調べて、銀河には 見えているものよりずっと多量の物質が含まれていることを明らかにしま した。さらに研究が進むと、宇宙にある物質の約90%は光を出していないこと がわかりました。これが「暗黒物質(ダークマター)」です。この時点で 科学者は、暗黒物質が存在することは理解しましたが、その正体は何か、 またどこに隠れているのかについては未だにわかっていません。

この近傍銀河 (NGC 6070)も、 その背後にある遠方の銀河から来る光を曲げています。

1999年に、ミシガン大学のフィリップ・フィッシャーとティモシー・マッケイ を中心とするSDSSの天文学者は、近傍銀河の暗黒物質の探索を始めました。 彼らは、アインシュタインの一般相対性理論で予言された「重力レンズ効果」 という手法を使いました。銀河のような大質量の天体は、ちょうどレンズ と同じように、近くを通過する光線を曲げるのです。そのため、近傍銀河の 背後にある遠方銀河を見ると、遠方の銀河から来る光が曲げられて、その 銀河は引き延ばされたように歪んで見えます。しかしその歪みの量は非常 に小さく、銀河の大きさの1%以下でしかありません。銀河はもともと ぼんやりしていて形がくっきりとしていないので、近傍銀河の重力レンズ効果 によりどのくらい歪みが起きているかを調べるのはとても困難です。

 

フィッシャーとマッケイらは、約30,000個の近傍銀河の周りの画像を足しあ わせました。足しあわせることで、遠方銀河の形の違いは 互いに打ち消しあうが、重力レンズ効果による歪みは強められると考えた のです。この方法で、極めて弱い歪みが検出できました。そうして彼らは、 観測された歪みの量を説明するには、平均的な近傍銀河の質量分布はどの ようになっていなければならないかをコンピュータによって計算した のです。

彼らは、銀河はそれまでに考えられていたよりも2倍大きいことを見いだし ました。実際、銀河系の暗黒物質はおそらく、隣のアンドロメダ銀河に触れる あたりまで、つまり200万光年(18,921,600,000,000,000,000 km)先まで 広がっているのです。

宇宙の暗黒物質の大部分は我々の銀河系のような銀河に付随している ことがわかりました。しかし暗黒物質の正体はまだわかっていません。

遠方のクエーサー

この画像の真ん中にある かすかな赤い点(矢印)がこれまで知られているもっとも遠い天体です。

クエーサーは、非常に活動的な中心核を持つ銀河で、宇宙でもっとも 遠方にある天体です。クエーサーの中心核の典型的な大きさは太陽系の 大きさ程度ですが、銀河全体が出すのと同じくらいのエネルギーを そこから放出しています。クエーサーは極めて明るいので、遠くにあっても 見ることができるのです。

光の速度は秒速約300,000kmという有限の値なので、クエーサーを発した 光がわれわれに届くまでには長い時間がかかります。このため、クエーサー は何億年も前の姿を見せているのです。したがって、クエーサーを研究 すれば、初期の宇宙に関する多くのことがわかるのです。

SDSSはクエーサーを見つけるために特別な工夫をしています。実際、最も遠い クエーサーの上位30個のうち26個は、1998年以降SDSSによって見つけられた ものです。2000年に、SDSSの科学者は遠方のクエーサーの記録を更新しました。 そのクエーサーの光は、宇宙が現在の10分の1以下の年齢の時に放たれた ものです。(2002年に記録はさらに更新されました)。SDSSのサーベイが 完了するまでに、100,000個のクエーサーが見つかると期待されています。 この数はSDSS以前に見つかっていた数の約10倍です。

ガンーピーターソンの谷

クエーサーが発見されるやいなや、天文学者はそれらを使って初期宇宙を 理解する方法を考え始めました。1965年に、カリフォルニア工科大学の ジム・ガン(彼はSDSSの主任科学者です)とブルース・ピーターソンは、 遠方のクエーサーには宇宙の暗黒時代が終わったことを示す証拠が 見つかるはずだと予言しました。しかし最近まで、その予言を確かめられる ほど遠くの天体は誰も見つけられませんでした。

宇宙の晴れ上がり(ビッグバンの約30万年後)以後の数億年間は、 宇宙は水素原子からなる濃いガスで満ちてい ました。水素原子は紫外線をよく吸収します。そこで、初期宇宙を 通過する光はすべてすぐに水素原子に吸収されました。宇宙は暗黒 だったのです。時が経つうちに、ガスは冷えて塊を作り寄り集まって最初の 星々ができました。これらの星々は光り始めましたがその光もまたすぐに 吸収されました。しかしそのうちに星々は明るさを増し、ついにその エネルギーが宇宙の水素原子を電離する(陽子と電子に分解する)ことに なったのです。このこと(「宇宙の再電離」と呼ぶ)が起こった後は、 光は宇宙空間を吸収を受けずに通過できるようになりました。 宇宙の暗黒時代が終わったのです。

ガンとピーターソンは、そのときに電離されずに残った残留水素原子は、 ごく少量、つまり100,000電離原子につき1個という少量であっても、遠方の 天体のスペクトルにそれとわかる効果を刻み込むことに気づきました。 彼らは、この残留水素原子の吸収により、再電離期にある天体のスペクトル の紫外線領域には、予想より光量が少ない「谷」が見えるはずだと予言を しました。この効果は「ガンーピーターソンの谷」と呼ばれるようになり、 天文学者はそれを探し始めました。

2001年の夏に、カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所 のロバート・ベッカーを中心とする研究チームは、上の写真に示されている 遠方のクエーサーのスペクトルを観測しました。ベッカーのチームは、 このクエーサーのスペクトルに、紛れもないガンーピーターソンの谷を 発見したのです。このクエーサーは非常に遠いため、谷の位置はは紫外線 領域から赤外線領域まで赤方偏移していました。

この発見がほぼ40年にわたる探索に終止符を打ちました。SDSSの 天文学者は、今後は、この現象をより深く理解するために、これ以外の 遠方クエーサーでガンーピーターソンの谷を探すことになります。

上の写真にある非常に遠方のクエーサーのスペクトル(下の図)と もう少し近いクエーサーのスペクトル(上の図)との比較。 不連続の位置(上の図でLyαの記号で示されている)のすぐ左側部分の 強度に注意してください。下の図ではその部分で光が完全に吸収されています。ガンーピー ターソンの谷の最初の発見です。

宇宙の大規模構造

宇宙の大規模構造はどのようになっているのでしょうか?星々が集 まって銀河を作り、銀河が集まって銀河団を作り、さらに銀河団が集まっ て超銀河団を作っていることはすでに知られています。しかし、 超銀河団はさらに集まって超超銀河団を作っているのでしょうか? どの段階でこの階層構造が終わるのでしょうか?SDSSはもともとはこの 疑問に答えるために計画されたものです。

SDSSは1998年から動き始めたにすぎませんが、すでに予備的な答えは 得られています:

この図は、宇宙の扇形の領域でSDSSが観測した銀河の分布を示した ものです。RAとあるのは、空の上の場所を示す「赤経」の略記号であり、 zは赤方偏移を表す記号です。地球は扇の要の位置にあり、赤方偏移は 地球からの距離を表しています。 この図にある一つの点が一つの銀河です。赤方偏移が大きくなる につれて、点の分布が希薄になっています。これは遠くにある銀河ほど 暗くなって観測しにくくなるためです。

銀河は、長く延びた狭い壁状に分布し、壁の間には銀河のない空間があるこ とが図からわかります。宇宙は、台所の流しの中にたまった洗剤の泡のようにも 見えます。このような「宇宙の地図」ができれば、天文学者はこれを詳細に 解析することができます。宇宙の進化に関する異なる理論は、それぞれ 異なった地図を予言します。銀河と銀河の離れ具合、すなわち「特性波長」と 呼ばれる量が異なるのです。SDSSが作る地図の特性波長を注意深く 調べることによって、どの理論が正しいかを検証することができます。 しかしそれにはおそらくまだ何年もかかることでしょう。

さらに知りたい人のために

SDSSの公式ウエッブサイト(www.sdss.org)には、SDSSの記者発表 の一覧と、SDSSに関するポピュラーな雑誌の記事へのリンクを載せた ニュースサイトがあります。このサイトに行くには ここ をクリックしてください。

ここで紹介した研究は、学術雑誌に公表された論文で詳しく述べられて います。論文リストを見るには ここ をクリックしてください。